もう一度だけ、キミに逢いたい。


* * *


あの後も、わたしはこれからどうすればいいのか考えたけど、答えなんて出なくて。


今すぐ伊織くんに会いたいけど、周囲にわたしと伊織くんに面識があるって知られてもまずいし、元よりそんな勇気は持ち合わせていない。


それに、こんな心がぐちゃぐちゃの状態で伊織くんと向き合うこともできない。


わたしにも少し時間が必要なのは分かっていた。


今、わたしの心の中には色々な感情が存在していて、それらの感情を整理するので精一杯だった。




……だからだろうな。


いつもは当たり前のように、表に感情を出さないように表情を保っていたのに、今日はそこまで頭が回らなかったみたい。




「…い…おい、鈴木。ちゃんと俺の授業を聞いているのか?」


「……はい」