「警察!?なんで………監視の目をなくなったはず……」
「くそっ!話が違うぞ!」
「そ、そんな…………!!何で、上手くいかないのよっ!!」
美鈴やパーカー服の男達は声を出して抗議しているが、警察がそれに動じるはずもなかった。
「風香っ!!大丈夫か?」
「柊………柊さん………」
そこには機動隊員と同じ服装をした男がゴーグルを上げて、そのまま風香の体を抱き寄せた。風香がその声を聞いて彼の方を見ると、そこには焦った表情の柊がいた。
彼の顔を見た瞬間に「助かったんだ」という、実感から一気に体の力がぬけていくのがわかった。
「今、拘束を外すから待ってて………怪我はない?」
「うん、大丈夫」
「大丈夫なんかじゃないよ……突然拉致されて、こんな姿になって男達に囲まれているなんて………」
柊は風香の足のロープを外してくれたけれど、手錠は鍵がないため外せなかった。そんな風香を柊はもう一度抱き締めてくれる。
風香の体はワインで赤く濡れ、先程まで男達が触れていたため、いたるところがはだけていた。そんな自分の体は汚れていると思ってしまい、風香は彼の体を少し押し返した。けれど、柊はそんな風香の気持ちがわかったのか、「大丈夫だから」と、いつもの微笑みで抱きしめてくる。風香の無事を確かめるように。