風香はすぐにタクシーの乗って、柊の家まで急いで戻った。
 その車内で風香は、彼が持っていたメモリーロスらしき物について考えた。

 彼が持っていた、パステルカラーのカプセル。美鈴の言っている事が正しいのであれば、あれはメモリーロスだろう。
 それを和臣が持っていた。

 そうなると、和臣が柊に渡したというのも考えられる。
 和臣から貰ったメモリーロスを柊は飲んでいるのかもしれない。
 そうなると、柊と和臣は手を組んでいるのかもしれないのだ。和臣が風香を気にして心配してくれ、こまめに連絡をくれる理由。それは、柊の事をどこまで察知したのか。知ってしまったのかを知るためではないか。

 そこまでして、柊と和臣は何故メモリーロスを必要としているのか。

 風香から離れたいため?
 それとも風香の事を忘れてしまいたいほどの何かをしてしまったのか。
 柊に辛い過去があるのか。
 考えれば考えるほど、メモリーロスを使う理由は現実味を帯びない怖いものになっていく。

 美鈴の言葉を思い出す。
 ガーネットを狙っているのかも、という言葉。それは輝ではなく、柊達なのだろうか?