「ま…さん…が…」
「え?」
「くま…さん…が…」
女の子は嗚咽を漏らしながらも話している。
私は一生懸命聞き取る。
「くまさん?くまさんがどうしたの?」
「いな…く…」
「ん?なに?」
「くまさんが…いなく…なっちゃっ…た」
女の子はそう言うとさらに泣き出した。
「くまさん?くまさんがいなくなっちゃったの?」
女の子は何度も頷く。
「くまさんってぬいぐるみ?」
もう一度頷いたあと私の目を見て言った。
「お姉さん…一緒に…探して…」
消え入りそうな声だった。
そんな顔してそんなこと言われたら嫌だなんて言えるわけがない。

