「霊感のない人間には彼岸での記憶は受け継がれないからね」


そう言ったのは美斗くん。


いつのまにかいつもの制服姿に戻っている。


「え、そうなの?」


「そう、だから覚えてなくて当然」



「霊感が強いか、舞空みたいな此岸と彼岸の境にいる人間じゃない限りね」と言った。


へぇ…そうなんだ。


「舞空ちゃん?だれと喋ってるの?」


結杏が不思議そうに私を見ている。



あっしまった!そうだった。


結杏には美斗くんの姿が見えてないんだった!



まずいと思い、美斗くんに助け舟を求めるも、口パクで「ばーか」と言われる始末。


ムッ…そっちから話しかけてきたくせに。