「美斗くんしかいないなって思って!」
私は万遍の笑みで目の前にいる美斗くんを見つめる。
「なるほど、そういうことか。だからチケット持ってたのか、もらったってことね」
「そう!だから美斗くん、一緒に…!」
「行かない」
「えっ…」
私が『一緒に行こう』と言おうとしたら遮られた。
美斗くんに『行かない』って言われた…。
しかもかなりの即答。
私の取り巻く雰囲気が暖色から一気に寒色に変わる。
マイナス15度くらいは落ちたような…。
完全にテンションはだだ下がり。
「なんで?なんで行かないの?あ、もしかして絶叫系の乗り物嫌いとか?安心してよ、私も苦手だから」
「違う。そういうことじゃねえよ」
「じゃあ、なに?」
思ったよりも悲しそうな声が出た。
実際断られてめちゃめちゃ悲しいんだけど。
…でもそれは美斗くんも同じだった。

