「へぇ、逃げちゃうんだ」 ドアのところまで来て振り返ると、川村くんは机の上であぐらをかいて頬杖をしていた。 「逃げたら君の大事なものを奪っちゃうよ?」 不敵な笑みを浮かべ、見下すような目をしている。 え…大事なもの…。 …って騙されるな! そう言って誘惑して私を呪おうとしているんだ! 私はユーレイを睨んだ。 「大事なものなんてない!この悪霊め!!」 私は大声で怒鳴りつけ、昇降口に向かって走り出した。