至極日記


「今日はもう帰りなさい」

彼の指示に瑠美は素直に従った。

もうそこに狂気の念は無かった。
代わりに、どこにでもいる普通の女子高生の笑顔と無邪気さを羽織っていた。


 廊下が静かになると、運動部の掛け声も守ってくれたオレンジの光も無いことに気づいた。

窓を見ると、山の縁にはもう夜の色が座っている。
窓を開け外の空気で目を覚まし、自分の呼吸の音を確かめた。

「俺は教師だ」

そう言い聞かせ、その場にしゃがみ込んだ。