翔は狂気を纏った彼女の腕を掴み、自分の方に引き寄せ強く抱き締めた。 力の限り強く抱き締めた。 彼にはこれしか方法がわからなかった。 瑠美は次第に落ち着きを取り戻し、突き放された体温が今、自分の身体に戻ってきたことに優越感を感じていた。 「ほら、やっぱり私がいいんじゃない」 満足気にそう言うと、目を閉じて笑った。