──現代、放課後 高二B組

 いつもと変わりない放課後だった。

松田冬香は終礼に掃除にと、一連の流れを済ませていつものように上の階に上がって行った。

しかし、上がった先にあった光景はいつもとは少し違うものだった。先生の周りを既に四、五人の女子が取り囲んでいた。
冬香はそれまでの少しの期待を全て心の奥に押し込めて、冷静を装い廊下の壁に寄りかかった。

しかし、目線は無意識のうちにそちらの方に向き、いつまでたっても彼女の心を落ち着かせることはなかった。