祥平は柚葉ちゃんを小野君にとられるのも嫌なのだ。私に恋愛感情の"好き"の感情はあっても、柚葉ちゃんに対する幼なじみとしての兄妹みたいな"好き"の方が上なのだ。

いい加減、柚葉ちゃんを解放してあげなきゃ、いつまでも恋愛出来ないよ。

柚葉ちゃんは柚葉ちゃんで小野君とは友達のままらしく、関係性が変わった様子はなかった。

─────放課後、部活が終了した後にバスケ部の後輩達が祥平に群がる。

「祥平先輩には紗夜先輩が居るから、義理ですがバスケ部からです!」

「あ、有難う御座います…」

祥平にはバスケ部の女の子達から一個。

「紗夜先輩、クッキー焼きました!食べてみてー」
「チョコマフィン作ってみたんです!良かったらどぞー」

私の元へは手作りのお菓子達が沢山届いたので、「ホワイトデーに返すね」と言った。

友チョコを用意していない私にとって、女の子達がみんなキラキラしていて可愛く見える。私は女の子らしい事って、あんまり得意じゃないや。

柚葉ちゃんから貰ったチョコレートもピンクで可愛いラッピングをしてあった。それに比べて祥平君にあげるチョコレートは、デパートで買って来た有名店のもの。有名店のものだから、味は確かだと思うけれど、リボンもついてない包装紙だけでラッピングしてあるもの。外見にもこだわれば良かったな……。