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11月7日(木)

○かなた

バスケ部の部室に真衣が入っていった時こっそり廊下で聞き耳を立てていた。

俺のことをよろしくなんて、もう覚悟を決めているみたいにしか聞こえなくて、逃げるようにその場を立ち去った。

もう何度泣いただろう。

昨日は真衣が飛び出してきた子を守ろうとしていたことなんて知らなかったんだ。

知っていたらいくらでも真衣を守れる方法はあったはずだ。

真衣が一度目に交通事故にあった日、病院で真衣の両親に聞いた話なんか頭に入ってこなかったんだ。

もしあのときちゃんと真衣の両親の話を聞いていればなんて、悔やんでももう遅いけれど。

ただ、もう真衣に会えないという事実が大きすぎて。

食事も喉を通らない。

生きているのか、死んでいるのかもわからない。

学校へも行けないただただ時間が過ぎていくだけ。

真衣のことがどんどん過去になっていくのがわかってしまう。

真衣。

会いたいよ。

真衣に1つ嘘をついたんだ。

明日、行くのは流符神社なんかじゃない。

真衣のお葬式だ。

真衣がいなくなってから一睡もしていない。

真衣。

真衣。

部屋に閉じこもって、真衣のことを考える。

そうしているうちに眠りについた。