「何その冗談笑えないよ。
信じないからね。」

自分の気持ちと表情と言葉が矛盾しているのだってわかってる。

かなたがそんな嘘をつくわけがないことだってわかってる。

信じないんじゃなくて信じたくないだけだってわかってる。

そんな私を無視してかなたは、話を続ける。

「今週の水曜日、真衣は交通事故に遭う。
僕は助けられなかったんだ。
真衣は、事故にあってから病院で死亡が確認された。
そして先週の水曜日に真衣は戻ったんだ。」

「何で時間が戻ったの?
これから起こることがわかっているなら、防げるんじゃないの?」

自分でそう言って思い出す。

「「流符神社」」

あの世に行った際、この世に残した未練を解消できるよう、時間が与えられ、成仏することができる。

「未練か。わからないな。」

私は、まだまだやりたいことなんていっぱいある。

海外に行ってみたい。

バンジージャンプを、してみたい。

お金持ちになってみたい。

「未練なんていっぱいあるよ。」

「真衣。
思い出すんだ。
車に轢かれた時に心から強く願ったこと。
その未練が解消できないと、成仏はできないんだ。」

かなたは身を乗り出してわたしに強くいう。

「かなた。
思い出せないよ。
車に轢かれたことすら覚えてないのに。」

かなたは立ち上がって机をぐうで叩く。