「なんか、嘘っぽいね。」

正直どこにでもありそうな話ばかりだ。

「あながち間違ってるわけでもないけどな、俺たちみたいに。」

「偶然かもしれないじゃん」

冗談まじりに言ってみる。

「いや、運命だよ。」

「未練か、かなたはこの世に残した未練ってないの?」

「まだ殺さないでくれよ。
未練か。あるよ。」

「なに?」

かなたは顔を少し歪める。

最近気づいたが、もし死んだらとかの話はどうやら嫌いらしい。

この手の話をすると嫌そうな顔をする。

「秘密かな。」

そうかなたがいうと、背を向けた。

「ちょっとかなた、なにしてるの?」

返事はない。

「かなた。」

そう言ってかなたを覗き込むと、涙を流していた。

「ごめん。
そんなにこういう話嫌いだと思わなくて。」

「いや、いいんだ。
気にしないで。」