二度目のクラクション

「二人です。」

かなたがそう答えると、奥の席へ案内される。

「ご注文がお決まりになりましたら、ベルでお呼びください。」

そう言って店員さんは、去っていく。

「なににしようかな?」

「じゃあ、俺はアイスコーヒーにしようかな。」

「えっ?
かなたってコーヒー飲めたっけ?」

今までかなたがコーヒーをのむところをみたことがなかったから、少し驚いた。

「いや、飲めない。」

「じゃあ、ジュースにしたら?」

「死ぬまでには、コーヒー飲んでみたいから。」

「確かにそうだけど、まだまだ人生長いですよ。」

「まぁな。」

こんな冗談を言うのは日常茶飯事だったりする。

「かなたもしかしてもう直ぐ死んじゃうの。」

「冗談でもよしてくれよ」

「そうだね。
先に死なないでよ。
でも置いてかないでね。」

「どっちだよ。
置いてくことは絶対ないよ。」

少しかなたの瞳が寂しそうに揺れる。

「わたしは、ココアにするよ。」