いつもと変わらないの朝。

アラームで目を覚ます。

カーテンからは、鬱陶しいほど太陽の光が漏れて部屋を明るく照らし出す。

「夢を見ていたのかな？」

なかなか開かない目を擦りながらベットから降り、着慣れた制服に身を包む。

「おはよう」

部屋から出ると先にご飯を食べていた弟とお母さんにいつもと同じように挨拶をする。

「ねぇ、朝ごはんこないだと一緒じゃない？」

きっと献立を考えるのが面倒になって手を抜いたんだろう。

「そんなことないけど。早く食べないと遅刻するよ。」

間違えなく最近食べた朝ごはんと同じはずなのに。

それほど気になっているわけでもないし、変に母の気を損ねて朝からテンションを下げたくもない。

少しモヤモヤを残したままご飯を食べ終えると、部屋に戻ってカバンに教科書を詰めこむ。

衣装鏡で服装や髪の乱れを確認する。

何度も着た高校の制服は、すっかり体に馴染んでいる。

最後に、誕生日プレゼントに彼氏からもらったピン留めをつける。

でも。

「あれ？」

引き出しの中を何度探してもピン留めが見つからない。

「可愛かったのに。」
時間が迫っていたので、ピン留めは諦めて家を飛び出す。

いつもと変わらない通学路。

バス停では、アイスクリームを持った男の子がはしゃいでいる。