二度目のクラクション

「うん。」

「そういえば、さっきの神社の話聞いてた?」

「うーん。聞いてなかった。」

「そっか。そうだよな。」

どうせ別れるなら最後くらい楽しい話をしたい。

「そんなによかったの?」

「うん。まぁ。

もう着くぞ。」

どこかに逃げようかとも考えたけど、かなたにきっと捕まってしまうから、諦めた。

「かなた」

そう呼んだのは、わたしではなく屋上で待ち構えていた優。

「優、お待たせ。」

「じゃ早速やる?」

わたしの知らないところで話が進んでいたんだろう。

肝心なところが抜けているのに、会話が成り立っている。

「そうだな。」

あ。

これで二人とお別れなんだな。

そう思うと、堪えていたはずの涙がポタポタとつたって乾いた床を濡らしていく。