特別大きいわけでもない、ごく普通の神社。

私たちはそこで出会ったんだ。

彼は右手の小指をたてて、私に手を差し出す。

薄い霧のように霞んだ景色の中、私も彼と同じように手を差し出して小指を絡める。

次第に濃くなる霧のようなものは景色を消してしまう。

微かに彼の口が動いたのが見えた。

そこで景色は完全になくなってしまった。