side 希愛
「希愛、好きです。付き合ってください。」
あたしは希愛。3か月前彼氏が出来た。名前は蓮。完璧すぎる彼氏なんだよね。

「希愛ー、帰ろ」
今日も放課後、同じクラスの蓮と一緒に帰る。周りの女子たちから羨望の眼差し。
私は優越感に浸っていた。
「おぉー、希愛と蓮!今日もラブラブやね」
あたしの友達の雅(みやび)が茶化してくる。
「みーちゃんうるさい!!笑」
なんて言いながらも、あたしは嬉しくて、毎日幸せで幸せでたまらなかった。
今日も蓮と少し寄り道をしながら家に帰る。なんて幸せなんだろう、あたしって。

家に帰ったらお母さんの夕飯の支度の手伝いをした。家族みんなで食卓を囲む。平凡で、何も取り柄のないあたしは、唯一顔だけが美形だった。
モデルのスカウトは1日1回はある。まあ東京だし都会だからされやすいってのもあるかもしれないけどね。もっとすごい子は1日と10回以上とかそんくらいなんだろうけど。
中学生のとき、1回モデルのスカウトをされ話を聞いてみることにした。少し有名な雑誌だったし、少しならいいかなって。
そしたら面接やオーディションなしで希望すればすぐ紙面に載り、モデルになれるみたいだったからモデルになることにしたのだ。モデルの仕事は楽しかった。いろんな服を着れて、いろんなメイクしてもらえてモデル仲間もできた。
その雑誌のモデルになって半年たった頃、同じ事務所のメンズモデルに告白され、付き合った。最初の方は幸せだった。けど、それは浮気されて終わった。まもなく、その彼がは大好きだったあたしはその事務所に通うのも嫌になり、モデルを辞めた。