宣言通り、授業中彼女はずっと僕の隣に立っていた。

彼女は決して邪魔な存在ではなかった。

それどころか、授業中退屈になるとニナはそれを察して僕の話し相手になってくれた。

彼女の話は独特で面白くて、話していて飽きることがない。

おまけにニナと喋っていても何故か先生は怒らなかったし、周りの生徒が不審な目で見ることもなかった。

「世界にはまだ知られていない伝説の生き物がたくさんいるの」



目をキラキラと輝かせながら、彼女は楽しそうに語る。

「成層圏にしか生息しないフェニックス。マリアナ海溝の奥底で眠る超巨大クジラ。古のジャングルを音より早く走る虹色のライオン」

「成層圏にマリアナ海溝に古のジャングルか……もし本当にそんな生き物がいるなら、会ってみたいなあ」

「会えるよ? 想太が会いたいと思うなら」



僕は、黙ってニナを見つめ返した。

「僕をからかってるの?」

「違うよ。想太に出来ないことなんてない。だって想太には私が付いているから」

「いくらニナでも、そんなの絶対ウソに決まってるよ」

「ウソじゃないもん! もう怒ったからね! そんなに言うなら帰ってから絶対に見せてやるんだから!」

「ええっ……」



帰ったら見せるってどういうことなんだろう……?

顔を真っ赤にして言い張る彼女の意味不明な言葉に、僕は首を捻るしかないのだった。