二人の声が飛び交い、次第に反響し始めて教室が歪んでいく。

浮き上がった机と椅子が天井付近で半回転し、顔の無い人影が床から湧いてきてニナ側とマナ側に別れ始めた――見覚えのある光景だと気づいた途端、飛び交う二人の声がドッヂボールのボールに見えてくる。

激しい風圧で教室が歪み、頭が割れそうに痛み始めた。

やめてくれ……助けて……もうこれ以上僕にこんなものを見せないで……

「救われたいカ?」



お願い……もう終わらせて……

「終わらたいカ?」



もううんざりなんだ……二十年近くも、ずっと、ずっと……だからもう許してく
れ――

許される為なら……僕は何だってしてみせるから!

「分かった――なら目を開けろ。これがキミが『最後の幻想』の中で見る『最初の現実』ダ」



マナのその言葉に導かれ、僕が恐る恐る目を開けた先にあったのは――黒板に書かれた短い二つの言葉だった。



偽名(にな)

真名(まな)