「愛実・・・」
「渉さん?」
「すまない。私が、愛実を見捨ててしまったばかりに
愛実に悲しい思いをさせることしかなかった。
だから、せめてもと今回」
「お見合いでもさせて、婚約させようってか?」
「・・・っ」
「それは、あんたの自己満足だ。
愛実の幸せなんて、何も考えてねぇだろ」
そっか。さっきまで、何も感じなかったのは
渉さんの自己満足だったからなんだ・・・
「あたしはね。翔哉とじゃなきゃ、幸せになんてなれないの。
まだ、人見知りする部分も、男性恐怖症な所もあるのに
ちゃんと、あたしを見てくれるの。
三ツ谷とか、深瀬とか、あたしにはどうでもいいの。
ちゃんと見てくれる人がいてくれる幸せがちゃんとにあるんだもん」
「愛実」
「渉さんは、お母さんと今の奥さん、
どっちを取るって聞かれたらどう答える?」
「きっと、別れてでも、この人だろう」
そっか
「でも、ちゃんと、愛実の母さんも好きだったよ」
「それと同じだよ。あたしは、翔哉しか選べない」
「そうか。私は、あの時しか見ていないのに
愛実が幸せではないと勝手に決めつけてしまっていたのかもしれない」
「勝手だな。愛実の幸せを勝手に決めて
見合いも、婚約も愛実が決めることだろう」
「そうだな。すまない、すまなかった愛実」
そう言うと、2人は家の中に入っていくのを見て
車に乗ったあたしたちは
なぜか、学園の寮ではなく
「ここは・・・?」



