京介が2歳になる直前
お袋は、女の子が欲しいのに、これ以上の妊娠は厳しいと
出産は、命にかかわると言われてしまったらしい。
そのことを俺は、親父から聞かされた

そして
児童保育施設によく行っていたお袋は
まだ、歩き始めたばかりの愛実を見つけ出した。

「あの子は」

「あぁ。深瀬愛実ちゃんですね」

「深瀬愛実・・・?」

「はい。お母様が亡くなられて、
お父様が育児放棄をされていたみたいで
ずっと、たった1人で家に取り残されていたみたいなんです」

「!?」

ちゃんと、両親がいて、
両親や執事、メイドに育てられてきた俺たち兄弟には
考えられないことだった

「泣きっぱなしの愛実ちゃんを市の職員が保護し
こちらに預けに来たんです」

「そうですか」

愛実ちゃんを見るとやっと歩いては
絨毯の上に座り込んだり、転んだりを繰り返していた

「私、決めたわ」

「お母さん?」

「愛実ちゃんを、三ツ谷で引き取ります」

「しかし・・・」