和服探偵

「ううっ……」

花嫁さんが苦しげにしている。そして、嘔吐した刹那に床に倒れた。体は激しく痙攣し、誰が見ても普通ではないことがわかる。

「早く救急車を!!」

誰かの叫び声で、披露宴の会場はパニック状態になってしまった。椅子から動けない僕の隣で音がする。亜梨沙ちゃんが立ち上がり、花嫁さんの脈を調べ始めた。

「救急車ではなく、警察を呼んでください」

亜梨沙ちゃんの声で、みんなが静かになる。亜梨沙ちゃんは真剣な目で驚くべきことを告げた。

「これは、殺人事件です」



花嫁さんが殺されたため、当然お客さんたちは混乱している中での警察の事情聴取となった。

「でもさ、もう犯人ってすでに逃亡したんじゃない?現場に残るなんて……」

「あり得ないわよね〜……」

僕らの近くにいた女性二人がそんなことを言っている。それに対し、亜梨沙ちゃんは口を開いた。

「犯人はまだこの会場にいますよ。つまり、全員が容疑者です」