鼓動が少しだけ早くなる。

「晴日先輩!」

私の声に気づいた彼は少しだけ足を早めて

「お待たせ、久しぶりだね。
 風邪、大丈夫だった?」

いつものように微笑んでくれる。

「おかげさまで。これ、少しですが」

迷って選んだのはマグカップとコーヒー。
コーヒーメーカーが置いてあったから
喜んでもらえるかと思って。

「そんな、わざわざありがとう。」

ありがとね、ともう一度言うと歩き出した。


風が吹いて、先輩の前髪が揺れる。


これがきっと、好きってことだと思う。

胸がギュッとなって、なんだか嬉しくて。



一度だけ先輩の横顔を見て、隣に並んだ。