次の日。ハルはヨシノを忘れてしまった。花は枯れてしまったけどヨシノからはハルがみれる。嗚呼、なんて切ないんだろうと思った。手を伸ばせば届きそうなのに、それが叶わないなんて。
だけど、これを選択したのはヨシノ自身だ。後悔はない。ヨシノはただハルを想うばかりだ。
ハル、勇気のない奴でごめんね。次は絶対伝えるから、ちゃんと忘れないでって言えるように勇気がないなりに頑張るから、強い男になってみせるから。
だから、来年もここに来てくれませんか。勝手だけど、またハルの話がききたい。
届くはずはないけど、伝えたかった。
そのとき、木の横を通り過ぎたハルが桜の木を見上げて微笑んだ気がした。
きっと、ハルは来年も来てくれる。根拠はないけどそう思った。
来年もまた、桜の咲く季節に君を待つ。
この桜の木の下で。