「No title」



隆ちゃんから目を離せないでいると

ギュッと右手が温もりに包まれる


その感触にハッと我に帰った私は後ろにいる先輩の方をむく


「風鈴、遅刻する」


先輩に突然握られた私の右手
そんな先輩は少し不機嫌に眉を顰める


「そ、そうですね

隆ちゃんごめん!積もる話は学校が終わってからで!」


「わかった!

終わったら連絡してね〜」


手をヒラヒラと振る隆ちゃんを背に


先輩は私の手を握ったままズンズンと進んでいく


その横顔はどこか不機嫌で
何か不満があるように感じた。