「No title」



学校のすぐ近くまで着くと
正門に人集りが出来ているのが目につく


その人集りの中心には
少し長い赤い髪をハーフアップにした男の人が立っている


一般人ではないことが雰囲気と人集りの騒がしさから分かる


そして私はその一般人離れした雰囲気を持つ彼にすごく見覚えがあった


ドクドクと鼓動が早くなり
ギュッと先輩の裾を握る


「風鈴?」


さすがに人集りの横をバイクで走るのは危険だと思い

私たちはバイクから降りてその人集りの横を過ぎようと足を進める


先輩は私の様子を気にしながらも
その場では何も聞かず私の横を歩いた



私は人集りの中心にいる人物に気づかれないようただ下を向いて歩く



だけどそれも意味はなく


「風!!!」


あっさりと彼に気づかれ名前を呼ばれてしまう