「No title」




上手く言葉が出ず戸惑っていると


「俺は風鈴と一緒にいたいと思ってる」


戸惑っている私に追い討ちをかける

真っ直ぐ真剣な眼差しで私の目を見る先輩


ドクドクと心臓が震え
顔も一気に熱を帯びる


「それはどういう意味ですか…」


付き合ってと言われた時もそう
先輩は一番肝心なところは言わない


「意味はない。風鈴が嫌じゃないなら一緒にいよう」


意味はない。その言葉でスっと熱が冷めるのを感じた


「もし私が先輩を好きになったらどうするんですか?そうなれば離れるつもりですか?」


一瞬。先輩の瞳が揺れる。

愛すことも愛されることも恐れている先輩がどうして私を傍に置きたいと思うのかは分からない


私が先輩に異性として興味がないからかも知れない


でもそれは少し前までの私。


今は…


「私…先輩のこと好きになるかも知れませんよ?」