「俺の彼女に何か用?」

男の手を掴んで怜が私の前にいた。顔は見えないが相当怒っている声だ。

睨まれた2人はびびって彼氏持ちかよっと言って急いで立ち去った。

後から春野くんもやってきた。

「怜!急に走り出してどうしたの」

「はぁー怖かった~。未桜大丈夫?未桜が声掛けられてたから怜に助け求めたの」

晴ちゃんの方が怖かっただろうに心配してくれた。

「うん。だ、大丈夫!晴ちゃんありがとう!怜もありがとね」

「未桜怪我してない?怖かったよね、ごめんね。近くまで着いていけばよかった…。」

助けてくれたのにすごくへこんでいる。

「大丈夫!怜が守ってくれたから!怜が来てくれて一気に安心したよ!ありがとう。」

怜が来てくれたことで怖さが消えたのは事実だ。笑顔で皆にもお礼を言った。

もう花火大会も目の前なので私たちは別れ怜と二人きりとなった。

チョコバナナとクレープを買って穴場を見つけたのでそこへ移動した。

「花火あと10分で始まるよ〜!」

デザートも食べ終わった。怜はさっきのこともあり最初より静かになった。

「怜?もしかしてさっきのこと気にしてる?」

「うん。未桜もう俺から離れちゃだめだよ?近くにいないと守れない」

手すりを握って下を向いていた。

「怜は離れてても助けに来てくれるでしょ?」

「そりゃ助けるけど…周りに教えてもらわないと気づけないこともあるし」

「私も自分で解決出来るように頑張るから大丈夫!でも無理だった時は怜に頼る」

「うん…。俺も未桜に怖い思いさせないくらい強くなって守る」

怜も納得したようで笑顔に戻った。この笑顔を守りたい。

「気遣わせてごめんね。花火楽しみだね!」

「うん!」

7時半になりアナウンスとともに花火が始まった。

「うわぁ!きれい…」

「だね。何年も何十年先もこのままずっと未桜と一緒にいれたらいいな」

「いるんだよ!」

そう怜顔を見て言うと怜は嬉しそうに涙を浮かべていた。涙を浮かべている理由は分からないが綺麗だと思った。

私の頬に手が触れ、そしてそのまま怜の顔が近づいてきて唇が触れた。

「ごめん。大事にしたいんだけどしたくなっちゃった。嫌だった…?」

「ふふっ嫌じゃないよ」

怜は勢いがすごい時があるが大事にしてくれていることはとても伝わってくる。