クラスの皆がいい人で良かった。応援されてるんだから私ももっと頑張らなきゃ!

とりあえず目の前のことに集中しようと気合いをいれた。

本番はあと3日となった。私は前と変わって声が出るようになった。キスシーンもたまに思い出すことはあるがすぐカットがかかるのでなんとか顔に出さずにすんでいる。

夜2人で練習していると休憩中怜が話し始めた。

「未桜、最終日の後夜祭一緒にみよ?」

元々一緒に見るのに今さら何を言っているんだろうと思った。

「春野くん達の7人で見るんじゃないの?」

私達野外学習班はその後も仲良くつるんでいる。

「そうだけど2人で見たい。伝えたいことがあるから」

「それって今じゃだめなの?」

「うん、だめ」

真剣な顔で言われたのでとりあえず晴ちゃんにメッセージで聞いてみると全然いいよーと返事がきた。

結果2人で見ることになった。

本番の30分前。とうとう本番が目の前にやってきた。私の着る服も素人とは思えない本格的な服だった。

皆の頑張りを無駄にする訳にはいかない。この学祭でクラスの子と仲良くなることができた。集中して今までの成果を出し切ろう。

いざステージの幕から観客席を見ると人がいっぱいいて緊張する。

(うぅ、吐きそう…)

緊張して縮こまっていると怜が来た。

「大丈夫?」

「いや。緊張して吐きそう」

そういうと怜は私の横に同じようにしゃがみ手を握ってきた。

「ピアノの演奏会の時を思い出して。あの時の未桜堂々と弾いててかっこよかったよ。今回も沢山練習したんだから失敗しても皆見てたから誰も何も言わないよ」

私は中学校までピアノをやっていた。あの時はコンクールに沢山出ていた。怜は私のお母さんと毎回見に来てくれていた。

1番最初コンクールをした時は今みたいになってたな。それを思い出すと笑いが込み上げてきた。

「あははっ私1番最初のコンクールの時もこんなことしてたね。その時も怜励ましてくれてたよね」

私はなんか安心してきて大丈夫な気がしてきた。

「怜、ありがとう!」