私は唯一英語が苦手だ。他の科目は80点以上をキープ出来るが英語だけはずっと苦手なままだ。

とある日の授業中英語の時間だった。私は程よい気温で眠くなっていた。意識が飛びかけていると先生に当てられた。

「清水さん次答えて」

私はどこを答えればいいのかも分からず困っていた。こんな時に限って怜はお腹を痛めてしまったらしくトイレに行ってまだ帰ってきてない。

あたふたと教科書を見ていたがやっぱりどこを答えればいいのかわからない。

「えーと…」

「There is」

前の席からボソッと聞こえたのでそのまま答えた。

「正解。もうチャイムなるからここまで」

授業が終わり福井くんにお礼を言った。

「全然大丈夫だよ(笑)でも清水さんが答えられないの珍しいね」

「お昼食べた後だし窓側暖かくて寝ちゃってたの。ほんとにありがとー!」

そのまま話していると怜が戻ってきた。

「あ、怜。お腹大丈夫?」

「うん。もう大丈夫」

それから6月になりすっかり暑くなってきた。そろそろ文化祭の時期だ。今日のLHRは劇をやるので役決めだ。私のクラスは白雪姫となった。

配役は最初は推薦となり王子役がいいと思う人というとほとんどの女子が手を挙げた。

「佐山くんがいいと思いまーす!」

女子達は満場一致のようだ。男子も怜が挙げられたので誰も文句なしのようだ。

「佐山。王子役やってくれるか?」

少しめんどくさそうにしていたが断れる雰囲気もなく承諾した。

「はい。やります」

女子達はやった!と喜んでいた。姫役の推薦となったがこちらは誰が推薦されるのだろうか。クラスのあの可愛いお姫様みたいな橘さんだろうか。

今度は男子が手を挙げている。

「清水さんがいいと思いますっ」

(…え!?私!?)

クラス全員が賛成といった空気を出しているが私は人前が苦手だ。怜は心配そうに私を見ていた。

「無理そうだったら断っても大丈夫だよ?でも俺、未桜と一緒に主役できたら嬉しいな」

と言われた。そんなの言われたら断れないじゃないか。

「清水できそうか?無理しなくても大丈夫だぞ」

先生にもそう言われたが他の子と演技でもくっついてるのは嫌だ…。

「や、やります!」

「おう!ありがとうな。とりあえず主演2人に拍手」

パチパチパチ。勢いで決めてしまったが大丈夫だろうか。

おばあさん役は晴ちゃんが立候補した。