第1金曜日の夜がやってきた。瑠香は、さすがにお腹が空いてしまうので、6時ごろドトールコーヒーで軽く食べた。

そして、9時10分前になるのを待って、待ち合わせのイタリアンレストラン、”How Sweet"に入った。ここは、4~6名の小さな個室が何室もあるので、第1金曜日の飲み会によく利用している。

部屋に案内されると、珍しく由美が先に来ていた。

「ひさしぶり~、瑠香。元気だった?」

「由美、ますます貫禄ついたね。今日は、残業は?」

「『貫禄着いた』って、女には誉め言葉にならないよ(笑)悪気がないのは分かってるけどね。もうほんと、仕事、仕事で。金曜日くらいは早く帰らせてもらう!」

「なんか・・・羨ましいなぁ。・・・といいつつ、私は、由美みたいにはなれない。わかっているから」

「ん?なんか、不満な感じ?私でよかったら、話して」

「なんかね~、仕事が単純すぎて。就職して、もう5年になるのに、1年目と変わらない仕事をさせられてるのよ」

「転職は考えないの?」

「思い切った方がいい思う?」

「バレー部のエースアタッカーが何を言う!失敗を恐れず、アタックしてみなよ」

「そうだね。ありがとう」

なんか、由美に相談して目の前が少し開けた気がする。帰りに、コンビニで就職情報誌でも買ってみようか。