あの日、君と僕は

四時間目までの授業を終え、やっと給食だーと誰かが声をあげた。

食べ始めるまでの時間も本を読んで過ごす柚葉には、この時間がそんなにも楽しみであるのかいつも不思議に思っていた。

といっても、五十分間の授業から解放されて気は楽だ。

手を洗いに行くため、廊下に出る。
見慣れた光景が、柚葉の目に映し出された。

たくさんの人とすれ違う。友達だろうか、話しながら歩く同学年の人もいれば、ふざけあって歩く同学年の人もいる。

ここにいる人たちはみんな、柚葉と同じ学年の人なのだ。

そのことについて、なんだか不思議な感覚に陥る。

同じ年に生まれてきて、同じ地域で育つ。

親近感というより、不思議に近い感覚。

自然と上がっていた頭が下に向き、床を見て歩いていると、

「おっと」

という声がした。

目の前にあるものは白いもの。

肌に触れる感覚は人のよう——

はっと我に返った。

勢いよく後ずさると、案の定、目の前に男子生徒が一人いた。