あの日、君と僕は

思い思いの過ごし方をしていた生徒は、気づかぬうちにみんな律儀にも自分の席についていた。

代わりに、教科の先生が教室に入ってくる。

二年四組の担任教師だ。

きりーつ、という号令がかかる。

れーい、お願いしまーす。

いつもと同じように、授業が始まる。

………

いつも、同じ。

変わり映えのない日々。

柚葉の日常はそんなものだった。

いつもと同じように頼られ、いつもと同じ道を歩いて行く。帰る。

そんなものでよかった。

そんなものが良かった。

いつかは変わってしまうんだろうなとか薄々気が付いていたけど、そんないつかなんて来なくていい。

出来れば、今がずっと続いて欲しい。

叶わなくても変わり映えしない毎日を過ごしていきたい。

そんなの不可能ってことくらいはわかってる。
でも、せめて、あと少しくらいは今と同じ生活で過ごしていきたいと思う。