「蓮実、ボール取って!」
同級生の男子部員が呼ぶ。
気がつけば、足元には手のひらに収まってしまうほどの大きさの玉が転がっていた。
それを拾い上げると、下投げで彼に渡す。
「さんきゅっ」
また練習を開始する彼を見て、僕も練習しなければと思った。
『坂野くんは、部活に入ってるの?』
いつだったか、彼女、正確には僕はそう言った。
なぜ部活に入っていないのに最終下校までま残っていたのか、わからなかったのだ。
『なんでだったかな。』
その時の蓮実は、とても自然に笑っていた。
自分はあんなに自然に笑えてたんだな、そんなどうでもいいことを思った。
きゅっ、きゅっ、カンコン、カンコン、という音がまだ聞こえていた。
………
帰宅した蓮実は、母親に一通の手紙を渡された。
「誰から?」
封筒は淡いピンク色。
「あいかわって読むの?わかんないけど、宛名が蓮実だから」
「ほんとだ」
受け取って裏返してみると、可愛らしく『はすみくんへ』とひらがなが並んでいた。
表には『相川柚葉より』と差出人の名が書かれていた。
「捨てないで読みなさいね」
「わかってるよ」
柚葉からの手紙、誰が捨てるか。
同級生の男子部員が呼ぶ。
気がつけば、足元には手のひらに収まってしまうほどの大きさの玉が転がっていた。
それを拾い上げると、下投げで彼に渡す。
「さんきゅっ」
また練習を開始する彼を見て、僕も練習しなければと思った。
『坂野くんは、部活に入ってるの?』
いつだったか、彼女、正確には僕はそう言った。
なぜ部活に入っていないのに最終下校までま残っていたのか、わからなかったのだ。
『なんでだったかな。』
その時の蓮実は、とても自然に笑っていた。
自分はあんなに自然に笑えてたんだな、そんなどうでもいいことを思った。
きゅっ、きゅっ、カンコン、カンコン、という音がまだ聞こえていた。
………
帰宅した蓮実は、母親に一通の手紙を渡された。
「誰から?」
封筒は淡いピンク色。
「あいかわって読むの?わかんないけど、宛名が蓮実だから」
「ほんとだ」
受け取って裏返してみると、可愛らしく『はすみくんへ』とひらがなが並んでいた。
表には『相川柚葉より』と差出人の名が書かれていた。
「捨てないで読みなさいね」
「わかってるよ」
柚葉からの手紙、誰が捨てるか。
