あの日、君と僕は

だからさっき、教室に違和感を覚えたのだろう。

それに、視点が柚葉だった。自分は実際に動いていたのだから、そんなこと、夢じゃないと起こらない。

それよりまず、柚葉は実在するのか——

「なぁ、夢で女と会っていたってどういう!?」

「なんで女だってわかんだよ」

「だって、ゆずはって男そうそういないでしょ。」

「まあ、そうか」

「で、どういうことなんだよ蓮実」

仕方なく、昼休みになってから全てを話すことにした。

その時、給食ではなく自分はいつも購買で買っていたことを思い出した。


「——で、柚葉って結局誰なんだよ?」

「えっと、二年三組の人で、髪の毛は左で結んでて、フルート吹いてて。」

思いつくだけの情報を全て晒す。

「俺、夢で柚葉になってた。」

「はぁ!?」

リアクションでけーよ、と呟くとあからさまに祐二は機嫌を損ねた。

「聞きたくねーの?夢の話」

「…聞きたい」

はあ、とため息をつくにもまた機嫌が悪くなるだけだと思い、そのまま続けた。

「その柚葉、吹部の現役で一番上手くなるってミーティングで宣言して、」

「現役で一番?無茶だろそれ。」

「ああ。それとおんなじことを思っていた同期からいじめを受けてたけど、有言実行に終わった。」

「おおー」

「で、文化祭当日、演奏は成功して吹部の部室に俺…俺自身ではないけど俺が来て、夢の中での俺が…柚葉が、か。が、柚葉…俺か?に告白。」

「まじか!?」

「うん。そこで、目が覚めた。」