あの日、君と僕は

……ジリジリジリ、ジリジリ…

「…ん」

目が覚めた。

でもまだ眠い。

ジリジリジリ、ジリジリジリ……ジ、

朝だ。
そこではっと脳が起きた。

急いでうるさい目覚まし時計を止めると、女の声が聞こえた。

『——私も』

「ゆずは……」

ほぼ無意識に呟いた。

ゆずは?ゆずは、柚葉…

「あっ」

相川、柚葉。

長い髪を左側に結った、二年三組の……

そこでここは自分の部屋だったことに気がつく。

一体、いつから?

あの吹奏楽部の部室は?

「蓮実!起きなさい!」

「やべ」

母が声を上げている。
外は、すでに明るい。

蓮実はとりあえず朝食をとりに立ち上がった。


「蓮実、おはよ。」

クラスメイトである仲の良い祐二が後ろから声をかけてきた。

「はよ」

「相変わらずブアイソーだな、お前は」

「…かもな。」

適当に返事をする。まだ頭がぼーっとしていた。

「起きろ!!」

耳元で言われ、びくっと震え上がった。

その瞬間、体がやっと目を覚ました感覚がした。

「うるせーな」

「はっ、かっこぶってなにしてんの」

笑いながらそう言われるとなぜか少しの怒りがこみ上げた。


校門に着くと、何人かの生徒が校舎に入っていくのが見えた。

しかしまだ来ていない人もいるようで、靴箱にはいくつかの上靴がある。

何気なく三組の靴箱を見て、柚葉が履いていたスニーカーを探す。

まだ来ていないのか、と思うと祐二に声をかけられる。