あの日、君と僕は

舌打ちしたサックスと仲の良いトランペット。それに加えて、美羽もいた。

あの三人、仲よかったっけ。
それに、『来た』って私のこと?

渦巻く疑問は解決できやしない。

構わずにいつも通りに音出しをする。

「ほんと、何出しゃばって朝早く来てんだろーね」

わざとなのか、こちらに聞こえるようにして三人のうちの一人が言った。

「そういうとこ、マジでムカつく」

ドキリとした。

自分のことを言われているのか?

その時、二年三組の教室の前で言っていたことを思い出した。

『そうなのそうなの!何出しゃばってるんだって思った』

言っている事が一致している。

やはり、自分のことを言われている。

「ほんとそれー」

美羽だ。

そこで、はっとした。

あの時の表情はもしかして——

その時、美羽が言った。


「部活、やめてしまえばいいのにね。」


「……え…」

突然のあまり、声が出てしまった。

誰が言ったのか瞬時には判断できなかった。

逃げたい。
そんな衝動に駆られた。

それからも三人は話し続けている。

気がつけば、逃げるようにして、楽器を持ったまま廊下へ飛び出したいた。


嘘、なんで美羽が?

やめてしまえばって……

視界がにじむ。

どこかへ行くにも場所がわからず、最上階である四階の一つ上、屋上に続く階段を見上げる。

普段は鍵が閉まっている屋上のドア。

踊り場までなら行けるはず…