あの日、君と僕は

下足室に着くなり、いつもと同じように靴を履き替えた。

上靴は、土曜日より汚くなっている。

周りの靴箱を見てみると、珍しく三人ほど先客がいた。吹奏楽の部員だろうか。

職員室には行かずに、いつもとは違うルートで部室へ行く。
もしあの三人が吹奏楽部の人だったら、鍵をわざわざ借りに行く必要もない。

何気なく空を見てみると、雲で覆われていていつもは青いそれは見えない。
代わりに灰色がかった重そうな雲が続くばかりだ。

雨でも降るのかな。

折り畳み傘が確か鞄にあったはず。

四階まで登りきると、右に曲がると吹奏楽部、左に曲がれば卓球部の部室が見える。卓球部は、朝練は無い。

右へ曲がると、先客がいた。

三人分、鞄が端に置かれている。

それに倣って柚葉も鞄を置くが、胸騒ぎがした。

柚葉より先に来ていた三人は、サックス、トランペット、パーカッションの人のものだ。
二年間も見てきたから、誰のものかわかるようになってしまった。

ドアを開けると、案の定サックス、トランペット、パーカッションの三人が黒板の前で話をしていた。

小さな車輪のようなものが付いている黒板は、入口の近くにある。

三人が一斉にこちらをみる。すると、顔を合わせて笑っていた。

ただ笑っていたのではなく、嘲笑っているように見えた。

よくわからずに楽器を組み立てる。
何かあったのだろうか。

「気づいてないのかな」

「どうだろ。あいつのことだから一理あるよ」