あの日、君と僕は

「あたしたちにとってはそれがいいんだろうね。なんせあの人以外そんなに部活に乗り気じゃないから。」

ほんとそー!と、相槌を打つトランペット。

実は、美羽もあまり乗り気ではなかった。

三年生が引退し、彼女たちは先輩という支配者がいなくなったことをいいことに部活に真摯ではなくなってきている。

サックスとトランペットはそこで話を打ち切り、それぞれ帰宅していった。

当然、柚葉は美羽の本音は全く知らない。

本番まであと九日!という文字が部室の黒板に現実を見せつけるようようにして書かれていた。

………

あと二週間もない。

どうせなら、見返すのは早い方が良い。

けれど、一番今から近い本番はあと二週間もないのだ。

「あと、9日……」

帰宅した柚葉は、ベッドに仰ぐようにして寝転がっていた。

開けた窓から吹き込む風がカーテンを揺らす。
ふわりと風によって浮かされたそれは、風が止んでしまうとしぼむように元へ戻った。

……本当に、そんなことできるのだろうか。

佳純よりも上手くなることが。

自分の気持ちを音に乗せて伝えることが。

膨らんでいた気持ちが、カーテンのようにしぼんでしまう。

——弱気になってちゃだめだ。

弱気になったら本当に叶わなくなる。
絶対に、叶えたい。叶えなければならない。

「おっし」

掛け声を入れて、スマホを手に取る。