あの日、君と僕は

そうやって音楽に触れて、音楽を好きになって、フルートが好きになって……

現役で一番、上手に。

見返したい。
馬鹿にした人たちを。

そう思ってしまえば、もうこちらのものだった。


しかしこの時の柚葉は、まだ絶句でいうところの起承転結の起句までしか到達していないことと、いつもの毎日は崩れてしまうことは知る由もなかったのだ。


見返す。

そう簡単に言っても、どう見返せばいいのか正直なところわからない。

どう見返せばいいのか……?


『現役で一番上手くなる』


それだ、と思った。

この部活の中で最も上手いのは同じフルートパート二年の佳純だ。

その佳純より上手くなる——すなわち、現役の中で一番上手くなる事が出来れば、見返すことができるのではないか、と閃いたのだ。

佳純より上手くなるにはどうすればいいのか。

まずは練習しよう、と相棒のフルートを構えた。

相棒。
かっこいい響きだな、とどうでもいいことを思った。


やがて練習時間も終わり、柚葉たちのフルートパートは部室へと戻った。

部室に入ると、先ほどのサックスパートたちがいた。

前を通り、「絶対に見返してやるからな」と心の中で呟くと、見透かされたように
「チッ」
という音が聞こえた。

それは柚葉にしか聞こえなかったようで、二人の後輩と佳純は何事もなかったように片付けている。

柚葉もまた、何事もなかったかのように片付けるが、内心では動揺を隠せないでいた。

………