あの日、君と僕は

確かに、出しゃばり過ぎていたのかもしれない。

そんな気持ちのまま、部室に入り、タオルをとって四組へと向かった。

後悔が押し寄せてくる。

なんであんなことを言ってしまったのだろう。

でも、取り戻せない。

『何出しゃばってるんだ』

その言葉が、どうしても頭から離れなかった。

忘れよう。
忘れなければ、練習できない。

先ほどの教室の前を通り過ぎる。

今度は笑い声ではなく、サックスの音が耳にまとわりつくように鳴っていた。

………

本心だったのだ。

現役の中で一番上手くなること。

自分の気持ちを音で伝えること。

それら全てが柚葉の本心だったのに、けなされたような感覚がした。

「ゆずは先輩、あの、ここなんですけど…」

柚葉の気持ちも何も知らない後輩が相談に来てくれる。

その方が、気持ちは幾分か楽だった。

リズムがわからないのはよくあること。
付点四分音符、タイ…

沢山の音楽記号がある中で、作曲者の意図通り演奏するのは難しい。

しかし、楽譜に忠実に演奏することばかり気をとられると自分たちの演奏したいものができなくなる。

そのようなところの塩梅が、音楽の難しく、面白いところだ。

いかに楽譜に忠実に、かつ自分達らしい良い演奏ができるのか。

それが、音楽の楽しいところなのだと思っている。