「それはどういった意味でしょうか?」


言葉の真意を確かめようと尋ねても 姫君はただ微笑むのみ。

遠くから姫君を呼ぶ声が聞こえ、


「もう来ちゃったのね。では、もう行くわ。お勤め御苦労様。

またお会いしましょう。」


姫君の陰はみるみるうちに遠くなり、そのうちに見えなくなった。

恐らく侍従と合流したのだろう、姫君を呼ぶ声はもう聴こえない。


それにしても不思議な御方だったなぁ、"死んでしまいたい" なんて。

城主が娘、足りぬことなど知らずに生きているだろうに。

寵愛を受けて育ったであろうに。

それでもなお 我が生に不満があるだなんて、なんと傲慢なことだ。

私にはその気持ちなど 死ぬ間際になったとて解りはしないのだろうな。