ちょっとそこのおしこみさん



今、なごみのいる置屋、玉屋には、五人の舞妓さん姉さんが一緒に暮らしていて、半年前に芸妓さん姉さんの一人が一人立ちしてアパートに引っ越した。


全員「丸」筋である。


舞妓さんまでは置屋で過ごす事が決められていて、だいたい年齢で言うと16歳から23歳までが「寿命」だろうか。


菊丸は絶賛寿命の23歳であるので、もうすぐ芸妓になる事が決まっていた。


一番最年長でもあるので、面倒見が良い。


なごみは、たぶん姉さんは菊丸だろうと思っているが、なにせ怖いのでごめん願いたいと思っていた。



「まあなんにせよ、きばりやあ」


ゆったりとした口調でおかあさんはなごみの背中を押した。