とうに稽古時間は一時間を超えていた。
次の稽古を待つ、同期の雛子が静かになごみの舞を見ている。


「お疲れさんどした。なごみさん、あんた店出し決まったらしいえ」


「おおきにおしょさん、、、ほんまにこないだはす、ええー!」



いざ謝ろうと再びお師匠さんの前に正座をしたが、驚きと疲労で後ろに倒れ込んだ。


「な!なごみちゃん!」


雛子が慌ててなごみを起こす。


「雛ちゃんありがとう、すんまへんおしょさんおどろいてつい」


「あんたはほんまに千代丸にそっくりやわ。舞わずの舞妓にはもったいないし、きばりや」


お師匠さんはクールにそう言うと、滅多に見せないニヤリとした笑みを浮かべた。


「おめでとうなごみちゃん」


なごみはボーッとした性格だから、あんまり嬉しいとは思わなかった。