楓は、ずっと翔太のことが好きだ。しかし、その想いを口にすることなく今日も仕事をこなす。

「よし！ちょっと休憩しよう！」

翔太がそう言い、コーヒーを用意しに部屋を出て行った。楓も仕事の手を止めてゆっくり息を吐く。この休憩している間だけは、幼なじみという関係に戻れるのだ。

「どうぞ。砂糖やミルクはいらないんだっけ」

翔太にコーヒーを手渡され、楓は「ありがとう」と笑う。翔太はコーヒーにミルクを必ず入れるが、楓はブラックで飲む。仕事をし始めた初日はそのことに驚かれた。

「ブラックでよく飲めるね。苦くない？」

「こっちの方が頭がスッキリするの」

コーヒーとクッキーを食べながら、楓は翔太と色々な話をする。今日は小学校の思い出話になった。

「音楽の××先生、怖かったよね」

「確か、怒られて泣いている男子がいたよな」

翔太が棚から青いアルバムを取り出す。そして、楓はアルバムのページをめくった。