そんな状態でも学校の時間はやってくる。


「松井さ、昨日教室来てたしほちゃんって子と付き合ってるんだね」

なんでか分かんないけどそんなことを本人に聞いてしまった。もう知ってるのに。


「あっうん、そう!可愛いっしょ俺の彼女。」


なんて幸せそうに言う松井の顔を見て、グッと胸が熱くなった。


「うん、可愛いね!お似合いだよ。」


そんなことほんとは言いたくないのに、松井には良いところしか見られたくなくて、


汚い気持ちは必死に封じ込めた。




こんなにショックを受けていたのに、当時の私は好きだって頑なに認めなかったんだ。


一緒にいてドキドキするのも、気持ちの上がり下がりが激しいのも、きっと自分より目立つ人といる時に緊張するあれなんだって、


言い聞かせてた。




けどほんとは多分気づいてなかっただけで、



もうずっとずっと好きだったんだ。