松井がうちに来てから1週間が経った頃のある日、


この日は前に約束した課題のための工場見学に行く日だった。



「岡田ー!お待たせ!」


なんで登場してきた松井は、このとき流行りだったスポーツブランドのTシャツを着ていた。



2人で電車に数十分揺られて着いたその工場は、結構大きくて夏休みということもあって大勢の人が来ていた。



いろんな展示を見た後に、最後に説明がある、ということでグループに分かれて教室のような部屋に入って、



社員さんのまとめの説明のような講義を受けた。



レポートの資料にするために、必死にメモを取ったりしていると、冷房が効きすぎて寒いことが気になった。



しばらく我慢していたけど、その我慢も限界を迎えて思わずくしゃみをしてしまった。


松井の前だからこんな可愛くないくしゃみしたくなかったのに、、。


松井は「寒い?大丈夫?」なんて心配そうに聞いてくれた。


「なんかちょっと寒いけど大丈夫!」

って答える私。







、、一瞬心臓が止まるかと思った。




なぜなら松井が黙って自分の持っていた上着を私の身体にかけてきたのだ。



回された腕がスローモーションに見えてしばらく身動きも取れなかった。



瞬きする間もなく、そんなことをしちゃうんだからやっぱり松井はずるい。



こんなことされたら誰だって好きになっちゃうじゃん。



もう死ぬほどきゅんってしちゃって、ほんとに心臓のドキドキが鳴り止まなくて、



そこから意識しちゃって、どんな顔して松井の方を向いたらいいのか分かんなかった。