そのマックの日から数日後のテスト直前の日曜日。


なぜかテスト前なのに急にかりんの家にみんなで遊びに行くことになった。


私はもともと勉強していなかったから良かったけど、いつも成績優秀なたくみは少し怒られつつも家を抜けてきたらしい。



かりんの家はかりんに似合う可愛らしいインテリアがたくさん置かれた広くて、見るからにお金持ちが住むような家だった。




その日の松井はずっと、かりんの家ってどんな感じだろ〜、とか


やっぱ家も可愛いんだね〜、とか、



鼻の下が伸びっぱなしで、私にはそんな顔しないくせにって嫉妬の黒い感情が止まらなかった。




しかも聞くところによると、ちょうどその日にかりんの家の近くでお祭りがあるらしい。


とは言ってもそんなにでかい規模じゃなくて、いかにも地元でやるようなお祭り、らしいが。



もちろんみんな「行きたい!」と賛成したので、急きょ行くことになった。




するとかりんのお母さんが、

「せっかくだから、かりんは浴衣着てけば?」

なんていうから、かりんは浴衣に着替えてきたのだ。





浴衣姿のかりんは、本当に可愛くて、女の子の私からしてもすごく魅力的で、


もちろん松井も


「かりんめっちゃ可愛いじゃん!超似合ってる!!」


ってべた褒めしていた。



その後もずっとかりんを見てはニヤニヤして、「いやマジで可愛い。」って何度も何度も繰り返し言ってた。



「うん!かりんめちゃくちゃ可愛い。」


って素直な気持ちで言えない自分が、汚くて、醜くて、本当に情けなかった。




ただでさえ可愛いかりんが浴衣着てるのに、隣にいる可愛くもない私は私服で、余計に差がついてるんだろうなあって、


その場から消えちゃいたいくらいだった。







なによりも松井がかりんのことを褒めているのを見るのが、嫌だった。



そんな場面見たくない。



松井がかりんのことを一回褒めるたびに、私の心がぐちゃぐちゃになっていく気がした。



こんな汚い自分知りたくなかった。



この前のマックの日はあんなに楽しかったのに、今日はなんでこんなに苦しいんだろう。



そう思いながら、その日は夜に解散になった。